2009年9月17日木曜日

Little Essay 056「白熱の試合展開 」






二つのグループは張り合っていた


一つのグループが歌うと

もう一つのグループは

それ以上に威勢のいい歌を歌った

そうなると

もう一つのグループも黙ってはいない

メンバー総勢での大合唱となってしまった


そんな繰り返しを見ながら

ボクはカウンターで一人ウィスキーを飲んでいた


大合唱が終わると

もう一つのグループは

大合唱プラス手拍子で責めてきた

こうなるともう手がつけられなくなる

しかしこれがプロ野球 巨人VS阪神のような

応援合戦に見えてくるから面白い



ボクは3杯目の水割りを注文して

その白熱の試合展開を眺めていた



グループの監督の様な まさにリーダー格が

歌詞本を眺めている次のバッターに

サインを送っている

<次はヒットエンドラン>

ボクは監督のサインを見抜いた


曲が始まる

スローバラードから

いきなり叫び歌いだす曲だ

相手のグループは一瞬たじろいだが

次の攻撃のチャンスを待っていた


ところが

こちらの監督の方が上手だった

今回の攻撃は<時間差攻撃>だった

すでにリクエストカードは

カウンターに2枚手渡されていたのだ


曲が終わり次の曲も

実はこちらのチームだった

向こうのベンチに控える監督は

<してやられた!>と言う顔だった



そんな風景を見ながらボクは

番狂わせの<昴>を歌おうと

ひそかにリクエストカードを書いていた




Little Essay by Yasutomo Honna



今迄のエッセイもそうですが

上記文章も遠い昔の作品です。

昔カラオケは、リクエストカードを書いて、

お店の店員に渡していたのでした。

デジタル時代の若い人には、

きっと分からないだろうなぁ~。

しっかし、私も古いなぁ~。

誰か一緒に、カラオケ行きませんか?




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