二つのグループは張り合っていた
一つのグループが歌うと
もう一つのグループは
それ以上に威勢のいい歌を歌った
そうなると
もう一つのグループも黙ってはいない…
メンバー総勢での大合唱となってしまった
そんな繰り返しを見ながら
ボクはカウンターで一人ウィスキーを飲んでいた
大合唱が終わると
もう一つのグループは
大合唱プラス手拍子で責めてきた
こうなるともう手がつけられなくなる…
しかしこれがプロ野球 巨人VS阪神のような
応援合戦に見えてくるから面白い
ボクは3杯目の水割りを注文して
その白熱の試合展開を眺めていた…
グループの監督の様な まさにリーダー格が
歌詞本を眺めている次のバッターに
サインを送っている…
<次はヒットエンドラン>
ボクは監督のサインを見抜いた
曲が始まる…
スローバラードから
いきなり叫び歌いだす曲だ…
相手のグループは一瞬たじろいだが
次の攻撃のチャンスを待っていた
ところが…
こちらの監督の方が上手だった
今回の攻撃は<時間差攻撃>だった
すでにリクエストカードは
カウンターに2枚手渡されていたのだ
曲が終わり次の曲も
実はこちらのチームだった…
向こうのベンチに控える監督は
<してやられた!>と言う顔だった
そんな風景を見ながらボクは
番狂わせの<昴>を歌おうと
ひそかにリクエストカードを書いていた…
Little Essay by Yasutomo Honna
※今迄のエッセイもそうですが
上記文章も遠い昔の作品です。
昔カラオケは、リクエストカードを書いて、
お店の店員に渡していたのでした。
デジタル時代の若い人には、
きっと分からないだろうなぁ~。
しっかし、私も古いなぁ~。
誰か一緒に、カラオケ行きませんか?
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