君が急に無口になってしまったのは
きっとボクが原因なんだろう…
いつも帰りが遅いし
会合と言う名の飲み会も増えている
共通の趣味を持たないで今日まできているし
<信じる>と言う言葉の軽さも知っている
<行ってくるよ> <行ってらっしゃい>
<ただいま> <おかえりなさい>
そんな日常的な会話だけが
唯一二人をつなぎ止める言葉となってしまった
テレビに向かっている時
本当は君の好きな裏番組が
とっくに始まっているのを知っている
でも…
ボクは今日の野球の経過が
リアルタイムで知りたかった
仕事を終えてのビールを飲み干す…
最後の一杯が瓶から注がれた時
本当はもう一本位は
冷蔵庫に冷やしておいてほしかった
でも きっとそれらは…
お互いの<わがまま>なのかも知れない
今度の日曜日は久々に休暇をとって
君と恋人時代よく行った
あの高原の牧場に行ってみようと思う
もしかすると忘れてしまった
<大切な会話>を取り戻せるかも知れない
「今度の日曜は 牧場に行こうか?」
ボクは風呂上がりのビールを楽しみながら
何気なく君に聞いた
君は何も答えず台所に行き
自分のビールグラスを持って来ると
ボクの前に突き出した
<トクトクトク……>
「いい提案ね! じゃ乾杯!
そのプラン好きだわ!」
君はちょっと笑顔を取り戻し
ビールを一気に飲んだ
少しづつだが
ボクらは<前向き>に歩きはじめた気がする…
Little Essay by Yasutomo Honna
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