2009年6月27日土曜日

Little Essay 0004 「白い煙」


ついさっき Kiosk で買ってきた使い捨てライターは

火の出方がとても悪かった

気づいた時に 既にボクは 

北国行きの列車 扉の閉まる数十秒前

冷えきった車内の中だった


ライターを手で覆いながら

必死でタバコに火をつけようと頑張ってみたのだが 

かなり無理があるようだ

ポケットをゴソゴソと捜してみたが

出てきたのはティッシュペーパーと 少しだけの小銭

そしてキミとよく行ったBARのレシートだけだった

しかたなく火のついていないタバコをくわえて

扉の外をしばらく見つめていた


大きく吹い込んだ息は

冷え込んだ車内から

君と過ごした さらに冷え込んだこのマチに 

白い煙となって 静かに消えていった…



Little Essay  by Yasutomo Honna

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