2009年6月28日日曜日

Little Essay 0006 「これが最後の夏祭り」







遠くにこの夏最後の

盆踊りの太鼓の音が聞こえている

静かに耳をすませば

子供達のはしゃぐ声も聞こえてきそうだ


部屋の電気を消して

冷蔵庫からビールを取り出す

コップは そう…. 縁日の様に紙コップがいい

何杯も何杯もビールを注いでいると

フニャフニャになってくる紙コップ

それを手の中で変形させて遊んでみる


窓から見える暑い暑い空に

1等星の星だけが チラチラ輝いているが

星座の形を思い出せない

そんな暑い夏の夜…



本当ならボクの側には 

浴衣を着た君が 座っているはずだった

そして うちわが静かに風を切っているはずだった

数年続いたそんなボクと君の歴史は

今年の夏を待たないうちに消えてしまった

原因なんてない

まして 心変わりでもない

ただ 一緒にいる時間が長かっただけ…



遠くにこの夏最後の盆踊りの太鼓の音が聞こえている

そしてボクは星座の形を思い出せない




Little Essay by Yasutomo Honna

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