2009年8月8日土曜日

Little Essay 042「ラヴコール」






室内用の無線電話が鳴った

トゥルル トゥルル

今頃の時間にかけてくるのは

だいたいあの娘からだ


この約束を守ったような

キチンとしたラブコールがあるおかげで

最近 仕事が終わると

道草をしなくなった


それまでは毎晩ボクの食事は

アルコール&おつまみ

そんな世界だった


でも今は

部屋に戻りインスタント食品となっている

どちらも変わりはないか ハハハッ



呼吸を整え

髪の乱れを揃え

一番いい顔で受話器を取る

きっと電話の向こうはあの娘だ




「あっ!いらっしゃいましたね

 いつもお留守なので 

 夜分遅くすみません!

 今月のガス代なのですが いつ 」



しばらくの間 

ボクは声をつまらせるしか

方法が見つからなかった



Little Essay by Yasutomo Honna





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