2009年8月22日土曜日

Little Essay 050「僕の愛がさめるまで 」






君を乗せた 僕の車は 

潮風に濡れながら走るよ

海が見たいと言った君は 

少しうつむき加減に黙ったまま



そうだね 君と初めて見た海 

ちょうど去年の 今頃だったね

寄せて返す波に 想い出を託して 

流してしまっても 君は黙ったまま



何も言わなくていいよ 

今の君にはそれが

最後の僕への 優しさになるから

ただ少しの間だけ 

海を見ていておくれ

僕の愛が さめるまで




あまりに都会に 慣れすぎていたから

お互い海が 恋しかったんだね

君は砂に僕の名前を 

書いては消えて行くのを 黙って見ていた




何も言わなくていいよ 

みんな分っているさ

今度の人が 君の最後のひと

ただ少しの間だけ 

海を見ていておくれ

僕の愛が さめるまで



何も言わなくていいよ 

今の君にはそれが

最後の僕への 優しさになるから

ただ少しの間だけ 

海を見ていておくれ

僕の愛が さめるまで


僕の涙が 乾くまで



Little Essay by Yasutomo Honna



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