2009年8月16日日曜日

Little Essay 046「別れるということ」



「シュワーーーッチ!」と背後から

ウルトラマンを真似てみせて

彼女を驚かせてみた…


そんなボクに

スペシューム光線をあびせかけて

驚きを隠そうと必死になっていた彼女



そんな風景を思いだしながら

テーブルの上の写真立てを眺めている

もうずいぶん前に写した写真だけど

二人の一番素敵な頃の写真だった



この写真立てを段ボールに入れると

全ての引越しの準備が終わる

そしてこの思い出の部屋ともお別れ



いつか戻って来てくれるかも知れない

そう思い続けて2年経ってしまった

手紙も電話もない



ある日突然 彼女はボクの前から姿を消した


「別れるってどういう事なのかしらねぇ?」

笑いながら彼女は言った

「うーん 二度と会わないって事かな?」

ボクは何気なく答えた



そんな懐かしい会話を思い出しながら

ボクはアパートに最後の鍵をかけた




Little Essay by Yasutomo Honna






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