2009年8月10日月曜日

Little Essay 043「君の住む町に乾杯」






窓から見渡す風景は一面の草原だった

よく君と来たペンションの一室に

ボクは今日一人でいる


数週間前

風の便りに君が今日結婚すると聞いたとき

ボクはここのペンションを予約した


2Fの202号室

南向きの窓がある部屋

それがボク達のお決まりの部屋だった


二人分の料金を払い

二人分の食事も作ってもらった


二人分のワイングラスを用意してもらい

二人が好きだった音楽をリクエストした


顔なじみのペンションのオーナーは

その不思議な光景に

いつもと変わらぬ接待をしてくれた

夕方6:00

君の結婚式が始まる時間


ボクはほどよく冷えたワインを抜き

君が住む北の町に向かって乾杯をした



Little Essay by Yasutomo Honna


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