2009年8月17日月曜日

Little Essay 047「缶ビール」






砂浜に寝ころがって 

真夏の太陽を浴びていた


足元3m位に 

広く世界につながる海がある

ザザーッ ザッ ザザーッ

風に身をまかせながら

タイミングの狂う波の音を聞いていると

まるで生き物のようにさえ感じられる


目をつむりながら

手探りでクーラーボックスを捜す

日差しがチクチクと肌をさす



クーラーボックスにはキンキンに冷えた

缶ビールがぎっしり詰まっているし

このロケーションには

缶ビール以外の何ものも似合わない



<ブシュッ> プルタップを引き上げる


身を起こし

広い海を眺めながら

冷えた そして 日差しにも負けない活力の

爽やかな液体を喉に流し込む


ほてった皮膚の裏側に

平行してその液体が流れていく



しばし 海と 水平線と 空を見つめ

再び砂浜に寝ころがる



缶ビールを持った手を空に伸ばすと

あれほど強かった日差しの太陽が

チラチラと缶の陰に見えかくれしていた



Little Essay by Yasutomo Honna




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