「コカコーラの紙コップの 再利用法って知ってる?」
彼女は飲み干した紙コップを
眺めながら聞いた
「ゴミ箱にポイッ 使い物にはならないなぁ」
ボクも最後に残った コーラを飲み干した
大学内のグランドに面した
コンクリート広場で
ボクと彼女はクラブ活動の
ラグビーを見ながら喋っていた…
「ふーん あなたはただ
ゴミ箱に捨てるだけなの?」
彼女はそう聞き返した
「そうさ… それとも
家に持ち帰るとでも言うのかい?」
ボクは彼女の質問に少し疲れてしまった
「ふふっ 最後にもう一仕事してもらうのよ…
スカッ!と爽やかになる様にね…!」
そう言って彼女は
コーラの紙コップを持ちながら立ち上がった
平らなコンクリートに
紙コップを逆さに置くと彼女は言った
「紙コップを逆さにして地面に置く
そして祈るの…
<もう一度爽やかにして下さい>ってね 」
そう言い終わるかと同時に
彼女は紙コップを その白いスニーカーで
思いっきり踏みつぶした…
<スパーーーン>
コーラの紙コップは
まるで風船が割れるかの様に
きれいな音を出して砕けた…
ラグビー選手達はその音に
不思議な顔をして振り返った
「ねっ!スカッ!と爽やかでしょ?」
彼女は肩をすぼめ ちょっと舌をだして笑った
ボクは紙コップの 最後の大仕事をじっと見つめ
<可愛そうな奴> と真剣に思ってしまった…
Little Essay by Yasutomo Honna
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