久しぶりにパンツの彼女からTELがあった
「ね~ぇ パンツは2倍ではなくて
4倍もつ事を発見したんだけど… 」
そう彼女は言ってケラケラ笑った
「えっ?またパンツの話かい?」
ボクは風呂上がりのビールを楽しみながら答えた
「そう いろいろ考えたんだけど
後ろ前 そして裏返したら4倍じゃない!」
彼女は真剣に考えたプランをボクに語った
「なーるほど そりゃ名案だね しかし… 」
と言いかけた時に彼女のストップが入った
「でもね 女性は出来るけど… 男性はダメネ!」
そう付け加えてケラケラ笑った
ボクも同じ話をしようと思っただけに
大笑いしてしまった
「で 今日はどうしたんだい?」
ボクは新しいパンツの
後ろ前を間違えない様にはきながら
電話の向こうの彼女に言った
「今? 私は取材で西宮… 」
「えっ?西宮?」
ボクはかなりの長距離電話にびっくりした
「そっ ホラ 高校野球の取材よ…
飛び散る汗 球児達の熱いドラマよ
あなた文科系だから 興味ないでしょ?」
彼女の電話の声の向こうにグラスの氷の音がした
「飲んでるのかい?」
ボクは聞いた
「うん 今日も一日歩いてたら 疲れちゃった
今ビジネスホテルの窓辺
ねぇ 西宮にいい店あるんだけど 来ない?」
そう言って再び彼女は笑った
「う~ん キミには逢いたいけれど
ちょうど今 風呂上がりなんだ
パンツは新しくて元気なんだけどなぁ
残念だけど次のチャンスにするよ!」
そう言ってボクも笑った
「残念ねぇ~ じゃ次のチャンスに…」
そう言った彼女の声が悩ましかった
電話を切った後 ボクはTVをつけた
今日のニュースで
どこどこ高校が 何対何で負けたとか
アナウンサーが 泣きながら球場を去って行く
高校球児の映像をバックに
単調な声で喋っていた
<4倍もつパンツかぁ~>
裏表 前後に 繰り返し使われる
彼女のパンツを思いながら
何故か その夜のビール 一本多めに飲んでしまった…
Little Essay by Yasutomo Honna
0 件のコメント:
コメントを投稿