2009年7月7日火曜日

Little Essay 00018 「ホップの恋 」




境界線を挟んでそっちの畑は

某社のエリアだ


で ボクが植えられているのは

また違う会社の畑だった…



彼女は残念ながら 境界線の向こう側にいたけれど

あまりに距離が近かったから

いつも二人空を見上げながら語りあっていた



「君はどんなビールになるんだろうか?」

ボクは青い空を見つめながら聞いてみた



「私は…きっとドライになってしまうわね

緑色のエクボで風に揺れながら彼女は言った



「そうかぁ ボクはきっとラガーだな」

ボクはそう続けた…



「そろそろ私たち離ればなれになるけれど

 いつかまた会えるかしら?」

彼女は寂しそうに言った



「うーん 難しい質問だな

 気持ちとしては君と一緒のビールになりたいね」

彼女の心を和らげるのは この一言しかなかった



「私もよ! でもそれは叶わない夢

 でも いつか…

 きっとどこかで再会出来ると信じてるわ!」

そう言って彼女は朝露のような涙を流した




月日が流れ

ボクと彼女が偶然にも再会したのは

安居酒屋のテーブルだった



「イッキ! イッキ!」


彼女は寂しそうに

酔いどれサラリーマンに飲まれていった




「カンパーイ!」


ボクは悲しくも

オヤジギャルに飲まれてしまった




Little Essay by Yasutomo Honna


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