2009年7月9日木曜日

Little Essay 00020 「さ・よ・う・な・ら」






君が来ない事はうすうす分かっていた…


でも もしかして

淡い期待も 2時間という待ち時間が

すべて打ち消してしまった



頼んだコーヒーも2杯目

もみ消した煙草は8本となり

9本目にウエィトレスが

無表情で 灰皿を取り替えていった



中二階のこのカフェテリアから

いつも眺める風景に

地下鉄の出口がある



そして

いつも君はそこから ボクに手を振っていた


遅れて 「ゴ・メ・ン

と いつも彼女の唇が大きく動くのが見えた



でも いくら待てども…

今日はいつもの人混みの中に 君の姿はない



カフェテリアの伝票には いつも

MAN WOMANの両方に

チェックがしてあったのに

今日の伝票は MANだけに寂しくマル



かすかにカップに冷え残った

コーヒーを流し込み


いつか君から誕生日にもらった

ワーゲンのキーホルダーから

車のキーだけを抜き取り

思い出の品を…カップに落した



そして…

きっと もう二度とこの角度からは

見ることのない風景に…


小さく さ・よ・う・な・ら を告げた





Little Essay by Yasutomo Honna

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