2009年7月28日火曜日

Little Essay 00034「忘れられない風景」






大学時代

広い学食の一番奥のテーブルは

ボクら仲間のお決まりの場所だった


休講も 自主休講も多かったから

学食を覗くと 誰かしらはそこにいた


ネコマンマと呼ばれる

冷えきったコロッケと

鰹節ご飯のスペシャルランチが

280円でボクらの定食だったし

コーヒーは自動販売機で50円だった

金がないボクらの憩いの場となっていた…



そのテーブルでは 

日々文化論が交わされたし

芸術談議にも花が咲いた


クラブ活動のミィーティングや

時には学食そのものが

学園祭のコンサート会場と化した


その古く 今にも壊れそうなテーブルは

時に仲間のノートを写すのにも使われたし

椅子を二つ並べて

昼寝のベットスペースにもなった

決して快適とは言えなかったが…・



学食が老朽化し

新築される事になった時

ボクらはワンカップと

かっぱえびせんで

さよならパーティをしてやった…

もちろん今はないあのテーブルで



誰にでも一つや二つ

遠い思い出の中に

忘れられない風景がある


思い出す度に 

笑みがこぼれたり 切なくなったり


あのテーブルはボクらの仲間の心に

今でもしっかりと 刻み込まれている



Little Essay by Yasutmo Honna



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