2009年7月23日木曜日

Little Essay 00030「重い雪」






中学時代 

ふたつ後輩の女の子がガンで亡くなった日

東京には珍しく 重い雪が降っていた


彼女の死を知らせる

お母さんからの 静かな電話の前で

ボクは何も言えず 立ち尽くしてしまった


目が見えなくなったらしい

自分で立つ事も出来ず

最後には… 

声も出せなくなっちまったらしい


彼女を最後に見舞った あの日

きっと全霊の力をふりしぼって

ボクのために

あのピアノを弾いてくれたのだろうか




先輩づらして近くの公園で

彼女の宿題を手伝った日々が

ボクの頭の中で 

クルクル クルクルと 回っていた…



「お兄ちゃん また明日

と手を振る彼女が

ボクの心の中に まだ確かに生きている



Little Essay by Yasutomo Honna



0 件のコメント: