2009年7月30日木曜日

Little Essay 00035「2週間もつ花」







君がこの部屋を出ていったのは

たぶん2週間位前だったと思う

はっきりは覚えていないが


そうだ

最後に君が花瓶にさしていた花が

残念ながら元気をなくしたからだ


「この花は2週間も保つのよ!」

と 君はいつも言っていた


何度聞いても覚えられないその花は

小さくて細い茎に

黄色い不思議な花を咲かせていた


「栄養剤がなくて

 これだけ保つから経済的ね

君はいつもそう言ったけど

1本1000円以上するその花が

ボクには経済的とは思えなかった


そんな小さな会話が

ボク等に亀裂を作った…




あれからたぶん2週間

元気をなくした

名前を覚えられない花を見ていると

不思議にその花が愛らしくなってきた


水を変えてみたが 

次の日はもっと元気をなくしていた


ボクはその元気のない花を花瓶から抜き

まるでペットを亡くした時の様に

庭に穴を掘って埋めた


そして

君が通っていただろう花屋を探しに

町に出かけた



Little Essay by Yasutomo Honna




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