暗い部屋に静かに差し込む日の光の終点には
飲み残したワイングラスがあった
ベットから首だけを出し
そんな風景を見つめていると
昨日の夜が嘘のように思えてくる
ワインラックから
一本のワインを取り出して栓を抜いた…
するとワインボトルの中から
美しい女性が飛び出してきたんだ…
彼女は部屋中を滑るように踊りだし
そしてボクの手をとった
からきし踊りが苦手なはずなのに
彼女のリードはまさに素晴らしかった
踊ってはワインを飲み
飲んではまた踊った…
ふらふらになっている筈なのに
いつまでも踊り続けられた
で またワインを飲む…
彼女が寂しそうな目をしたのは
最後のワインがグラスに注がれた時だった
そして静かにふっと…
ボクの目の前からいなくなってしまった
ボクは最後の注がれた
飲みかけのワインに手をつける事なく
彼女を捜し続け 捜し続け
そしていつの間にか…
疲れ果て 眠ってしまったらしい
明くる朝…
朦朧としたベットの上から
昨夜の記憶を辿ってみたのだが…
テーブルの上に残されたワインボトルには
不思議なことに
一輪の花が飾られていた…
その花びらは…
昨夜のワインの如く
深く情熱的な…エンジ色をしていた
Little Essay by Yasutomo Hinna
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