2009年7月12日日曜日

Little Essay 00022 「ダンス オブ ワイン」






暗い部屋に静かに差し込む日の光の終点には

飲み残したワイングラスがあった


ベットから首だけを出し

そんな風景を見つめていると

昨日の夜が嘘のように思えてくる



ワインラックから

一本のワインを取り出して栓を抜いた…



するとワインボトルの中から

美しい女性が飛び出してきたんだ…


彼女は部屋中を滑るように踊りだし 

そしてボクの手をとった


からきし踊りが苦手なはずなのに

彼女のリードはまさに素晴らしかった



踊ってはワインを飲み 

飲んではまた踊った…


ふらふらになっている筈なのに 

いつまでも踊り続けられた


で またワインを飲む





彼女が寂しそうな目をしたのは

最後のワインがグラスに注がれた時だった

そして静かにふっと…

ボクの目の前からいなくなってしまった



ボクは最後の注がれた

飲みかけのワインに手をつける事なく

彼女を捜し続け 捜し続け 

そしていつの間にか…

疲れ果て 眠ってしまったらしい



明くる朝

朦朧としたベットの上から

昨夜の記憶を辿ってみたのだが…


テーブルの上に残されたワインボトルには

不思議なことに 

一輪の花が飾られていた…


その花びらは…

昨夜のワインの如く

深く情熱的な…エンジ色をしていた



Little Essay by Yasutomo Hinna



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