2009年7月30日木曜日

Little Essay 00036「プラモデル屋」






そのプラモデル屋が

無くなったのは突然だった…


懐かしい風景として

いつまでも残っていると信じていたのに

ある日突然その店は無くなってしまった



日課の様に通いつめていた頃から

もう長い時間が経ってしまい

二度と足を踏み入れない

置き去りの空間になっていたのだが

いざ無くなってしまうと…

心のどこかに風が吹き込んできた



ポケットに一円も入っていない時でも

ボクらに夢を与え続けてきてくれた

プラモデル屋


100円なんて大金が入ると

地球はすべて自分の物だ

そんな気持ちでその店へ急ぎ足になった


サンダーバード2号は最高だった

潜水艦サプマリン号は風呂の友

戦車はジオラマの中にいた

ドラムセットやギターセットも

未来への憧れだった



自由になる金が少し入るようになると

何故か突然

ボクらはプラモデルに

見向きもしなくなったんだ


不思議なもんだね



しばらく空き家になった

その店舗を眺めていると

そんな風景が幾つも幾つも

脳裏を横切っていった…



Little Essay by Yasutomo Honna



このプラモデルの話はノンフィクション

サンダーバード秘密基地のプラモデル、

実は私は手つかずの商品を今もこっそりと

隠し持っているのでした。




0 件のコメント: